底つき体験がアルコール依存症治療の精神科外来通院継続に与える影響
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アルコール依存症は,身体的・経済的・社会的な害を引き起こすにもかかわらず,治療を受けている患者は少ない.また低い治療継続率も課題となっており,その向上が予後の改善には必要である.治療継続のためには,飲酒によって家族,健康,財産などの喪失を自身で体験することで断酒に至る底つき体験が必要とされてきた.海外においては,Kirouacらが初めて底つき体験を定義して研究を実施した.本研究では,Kirouacらの先行研究を元に底つき体験を定義し,その有無によりアルコール依存症患者の背景や外来治療継続に違いがあるのかを比較検討した.2016年4月1日から2019年8月31日までに昭和大学附属烏山病院のアディクション専門外来に初診となり,アルコール依存症と診断された患者を対象とした.診療録を用いて性別,年齢,身体及び精神疾患の併存の有無,同居人の有無,初診時の就労の有無,生活保護受給の有無,当院初診時の住所が世田谷区内か区外か,集団治療プログラム参加の有無,自助グループ参加の有無,当院初診後の当院入院の有無,外来治療継続期間,そして受診前の底つき体験の有無について後方視的に調査した.底つき体験の有無を二群に分け,調査項目について単変量及び多変量解析を実施し,また外来治療継続に与える影響を検討するためKaplan-Meier法及びLog-rank検定にて生存分析,Cox比例ハザードモデルを用いた多変量解析を実施した.その結果,様々な要因を考慮しても底つき体験の有無は外来治療継続に影響しなかった(P value=0.10).これは,アルコール依存症治療には底つき体験を待たずに早期介入を積極的にするべきであるという,我々の考えを支持するものであった.
Journal
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- 昭和学士会雑誌
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昭和学士会雑誌 82 (6), 453-459, 2023-01
昭和大学学士会
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Details 詳細情報について
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- CRID
- 1050577199130481280
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- ISSN
- 2188529X
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- Web Site
- http://id.nii.ac.jp/1670/00004202/
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- Text Lang
- ja
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- Article Type
- departmental bulletin paper
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- Data Source
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- IRDB