中国のSNS 上における言語表現の簡略化現象

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タイトル別名
  • On the shorter and simpler coding of linguistic expressions observed on SNS in China
  • チュウゴク ノ SNS ジョウ ニ オケル ゲンゴ ヒョウゲン ノ カンリャク ケゲンゾウ

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抄録

三十年来,中国社会が大きな変貌を遂げてきた。これは,言語表現の世界においても同様である。とくにSNS上においては,ネット発信に速度が要求されるため,文字数を少なくして文章を短くし,キーボード操作をできるだけ簡単にする必要があることから,軽い気持ちで文字や用語を操るようになり,その結果,言語表現の簡略化現象が生じたのである。 ただ,この簡略化現象は,すべてにおいてまんべんなくかつ恣意的に行われているわけではなく,その多くは,ある一定の文型,文法のうえに成り立つ言葉に対して,それを簡略化処理するのである。なかでも,もっとも多く見られるのが,「介詞+名詞+動詞」を基本構造とする文型に対するものであり,かつ,「介詞文」と「使役文」,「“把”構文」の三種の文に集中している。それにおける共通の特徴は,介詞を不要にして字数と文成分を減らし,介詞の後に置かれるべき介詞賓語を動詞,とくに自動詞と離合動詞の後に移動してそれの目的語とし,自動詞や離合動詞を他動詞に変容させる現象である。 本稿は,上述簡略化処理の現象を紹介,分析するものであるが,最後に,簡略化処理後の文が,中国語を母語とする人には理解するのにまったく支障が生じないだろうが,中国語を外国語として学習する人にとっては,注意を喚起する必要があることを提起している。

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