日本語のスピーチレベルシフトの生起条件と機能 : 鉄骨工場で働く技能実習生に向けられた日本人同僚の発話の分析から

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書誌事項

タイトル別名
  • Conditions and functions of Japanese speech-level shift : From the analysis of Japanese colleagues’ utterances toward technical trainees working at steel factory
  • ニホンゴ ノ スピーチ レベル シフト ノ セイキ ジョウケン ト キノウ : テッコツ コウジョウ デ ハタラク ギノウ ジッシュウセイ ニ ムケラレタ ニホンジン ドウリョウ ノ ハツワ ノ ブンセキ カラ

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説明

日本語のスピーチレベルシフトについての研究は盛んに行われてきたといえるが、それらに用いられたデータは友人か初対面かのような親・疎関係の会話や教室における教師と学生の会話、あるいは、前もってセリフが書かれた脚本のものなど、特定の条件を設定した会話からのものが多い。また、接触場面の場合には、取り上げられた対象は留学生に止まり、技能実習生に関するものは管見の及ぶ限り見当たらない。そこで、本稿は技能実習生を対象とし、実習実施機関で生じた自然会話に注目した。具体的には、指示が多く、かつ危険性を伴う鉄骨工場をフィールドとし、技能実習生に向けられた日本人同僚の発話に注目した。 その結果、1)朝礼、会議、送別会は丁寧体を基調としているのに対し、作業現場の発話場面は普通体を基調としている。2)先行研究ではまだ言及されていないが、本研究では、丁寧体基調場面におけるダウンシフトとして、「強い口ぶりで、念を押す時」、「職業規則を明示する時」、普通体基調場面におけるアップシフトとして、「実例を挙げる時」、「相手に同意・共感を示す時」、「1つの作業が終了時の合図」、「説明を諦める時」にもスピーチレベルシフトが観察された。3)機能は、構造標識、談話標識、待遇標識と心的距離の伸縮の4つに分類できる。さらに、4)スピーチレベルシフトには一回性のものと連続性のものがあり、場面によって現れ方が異なっていることが判明した。

収録刊行物

  • 東アジア研究

    東アジア研究 21 51-74, 2023-03-01

    山口大学大学院東アジア研究科

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