直腸癌術後に脊椎硬膜外膿瘍を来した1例

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  • Spinal epidural abscess after rectal cancer surgery: A case study

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抄録

症例は77歳男性。直腸癌T3N0M0 StageIIに対して腹腔鏡下低位前方切除術と回腸ストマ造設術を施行した。術後7日目に縫合不全を合併,吻合部ドレーンの造影で仙骨前面に直腸内へ連続する膿瘍腔を認めた。連日のドレーン洗浄と定期的なドレーン交換を行ったが改善を認めなかった。術後77日目に両下肢の筋力低下と左下肢痛による歩行困難を認めた。同日のCTで仙骨に骨溶解を認め,その1週間後に腰椎から仙骨レベルの脊椎硬膜外にガス像を認めた。術後縫合不全から仙骨骨髄炎を生じ,さらに脊椎硬膜外膿瘍を合併したと考えられた。リハビリと栄養療法を継続した。術後94日目に膿瘍腔の縮小を認め吻合部ドレーンを抜去した。両下肢の筋力が徐々に改善,杖歩行可能となり,術後169日目に退院となった。直腸癌術後縫合不全により硬膜外膿瘍を合併した症例は極めて稀である。若干の文献的考察を加えて報告する。

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