混生社会指標 : 生命システムとしてのコミュニティのウェルゴーイングの評価

機関リポジトリ (HANDLE) オープンアクセス
  • 加藤, 猛
    京都大学 オープンイノベーション機構 日立京大ラボ
  • 宮越, 純一
    京都大学 オープンイノベーション機構 日立京大ラボ
  • 松村, 忠幸
    日立製作所 研究開発グループ 基礎研究センタ 日立京大ラボ
  • 嶺, 竜治
    京都大学 オープンイノベーション機構 日立京大ラボ
  • 水野, 弘之
    日立製作所 研究開発グループ 基礎研究センタ 日立京大ラボ
  • 出口, 康夫
    京都大学 文学研究科 哲学専修

書誌事項

タイトル別名
  • Mixbiotic society measures: Assessment of community well-going as living system

説明

社会的な孤立はコミュニティの貧困化(個人の原子化:アトミズム)、分断は内集団の肥大化(群衆化:モビズム)に起因し、両者はコミュニケーションに関する社会問題として捉えられる。これらの解決に向けて、哲学界では混生社会(多様な価値観を持つ自遊な個人が混ざって混むことで互いを認め合い連帯へ昇華していく社会)という概念が提案されている。本研究では、この概念に基づいて、従来の静的なソーシャルネットワーク分析に代わり、生命現象を模したセルラオートマトンや粒子反応拡散におけるクラシフィケーションを参考にして、動的なコミュニケーションパターンを評価するための混生社会指標を新たに提案する。具体的には、4つのクラスに対応する指標の仮説を立て、コミュニケーションの生成と消滅をシミュレーションすることにより仮説を検証した。その結果、コミュニケーションパターンを多次元ベクトルとして捉え、モビズムに対してユークリッド距離の平均、アトミズムに対して距離の相対変化の分散、混生社会のウェルゴーイングに対応するミキシズムに対してコサイン類似度の平均と分散を掛け合わせた複合指標、ニヒリズムに対してほぼゼロの指標が適していることがわかった。そして、これらの指標を用いて7つの実社会のデータセットを評価した結果、ミキシズム指標がコミュニケーションの生命性の判断にとって有用であること、複数の指標に基づいてコミュニティの類型化が可能であることを示した。今回設定した指標は、動的パターンを評価できる点、計算が簡便である点、意味を解釈しやすい点で従来の分析より優れている。将来の展開として、様々なデータセットによる追加検証と合わせて、混生社会指標は、望ましい社会に向けて、孤立や分断の問題分析や、デジタル民主主義やプラットフォーム協同組合主義のフィールドに活用されていくだろう。

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

  • CRID
    1050578437502629376
  • HANDLE
    2433/284470
  • 本文言語コード
    ja
  • 資料種別
    article
  • データソース種別
    • IRDB
    • OpenAIRE

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