「元永本古今和歌集」における割り書きについての一考察

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  • 「 ゲンエイホン コキン ワカシュウ 」 ニ オケル ワリガキ ニ ツイテ ノ イチ コウサツ

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抄録

元永本古今和歌集における「割り書き」に着目し、先行研究の整理、「割り書き」の分類を行った。元永本古今和歌集には、全部で二十二首の「割り書き」があることが分かり、大別すると、Ⓐの歌一首一行書きの途中や末尾に二行で小さく書くもの(五首)と、Ⓑの歌一首二行書きで二行目の末尾もしくは末尾直前に二行で小さく書くもの(十七首)の二つに分類することができた。元永本古今和歌集と同筆の巻子本古今和歌集や筋切・通切の「割り書き」にも触れ、比較検証をした結果、藤原定実筆の古筆における「割り書き」は、歌の部分のみ(筋切・通切においては、仮名序での使用もあるが、小野小町の歌部分のみ)で使用されていることが分かった。歌一首を「割り書き」する表現方法は、割注を含む「北山抄」(巻三・巻七)の校合をした藤原定実ならではの着想で、単なる行末に収めるためだけの処理的な書式ではなく、多様な表現を求め、美を意識した書式であると考察した。以上の研究を踏まえた上で、「割り書き」の書式を取り入れた大字仮名作品の制作を試みた。

収録刊行物

  • 大東書道研究

    大東書道研究 30 36-42, 2023-03-22

    大東文化大学書道研究所

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