カナダにおける性別二元制への挑戦 : 出生証明書の性別変更制度を素材として

書誌事項

タイトル別名
  • Challenge to the gender binary in Canada : A case study of the gender change system for birth certificates
  • カナダ ニ オケル セイベツ ニゲンセイ エ ノ チョウセン : シュッショウ ショウメイショ ノ セイベツ ヘンコウ セイド オ ソザイ ト シテ

この論文をさがす

抄録

二〇一七年、カナダ連邦議会は、カナダ人権法の二条(立法目的)と三条⑴(差別禁止事由)に「性自認または性表現(gender identity or expression)」を追加し、連邦管轄下において「性自認」と「性表現」による差別することを明確に禁止した。一方、州政府は、これらを差別の対象事由として追加することについて、連邦政府よりも先行して対応していた。それは、性自認や性表現に関しては、本人の認識がいかなるものであれ、公的に「性」を決定づけてしまう最も基本的な証明書の発行主体が、州であるというカナダ型連邦制を背景としていることが考えられる。  そこで本稿は、性自認や性表現が差別禁止事項として州及び連邦で法制化されるにあたり、中心的な論点の一つであったトランスジェンダー等の人々の証明書の問題について、とりわけ出生時に肉体的特徴に基づき登録された性と自ら認識する性の不一致解消政策の構造に着目して検討し、もって一連の人権法の修正法の意義を検討するものである。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 126 (7-8), 247-268, 2020-01-15

    法学新報編集委員会

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ