EU加盟国におけるICSID仲裁判断の執行問題 : Micula v. Romania 事件を手がかりに

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タイトル別名
  • Enforcement of ICSID Awards in EU Member States and State Aid Law : Micula v. Romania
  • EU カメイコク ニ オケル ICSID チュウサイ ハンダン ノ シッコウ モンダイ : Micula v. Romania ジケン オ テガカリ ニ

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抄録

投資家向け税制優遇措置の廃止に伴う損害賠償が申し立てられたMicula v. Romania 事件においては、ルーマニアに賠償の支払いを命じるICSID 仲裁判断が二〇一三年に出された一方で、その支払いが違法な国家補助に当たるとして当該仲裁判断の履行を禁じる欧州委員会決定が二〇一五年に出された。ICSID 条約第五四条に基づいて当該仲裁判断の執行を求められた英国の裁判所においては、ICSID 条約上の仲裁判断執行義務と、当該欧州委員会決定を尊重するEU法上の誠実協力義務とがいかなる関係にあるのかが争われ、裁判官の見解が分かれるに至った。その見解の相違の本質は、ICSID 仲裁判断の、締約国の国内裁判所の確定判決との同等性を規定したICSID 条約第五四条の解釈にあるといえよう。本稿は、Micula v. Romania 事件仲裁判断の執行手続をめぐる英国高等法院および控訴院判決の整理・検討を通じて、ICSID 条約上の仲裁判断執行義務とEU法といった他の国際義務の衝突可能性を明らかにするとともに、その調整方法を提示しようとするものである。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 126 (5-6), 69-123, 2019-10-10

    法学新報編集委員会

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