幼児のための身近なメディア情報の活用方法とその評価・課題について Vol.2―2 歳児の保育を通して―

書誌事項

タイトル別名
  • How to Use Media Information for Young Children and Its Evaluation and Issues Vol.2:Through the Care of 2-Year-Olds

抄録

筆者らは、乳幼児を対象とした保育においては、子どもにとってあくまでも直接体験が最重要であるという前提のもと、情報化の流れは避けられない時代状況下で、身近なメディア情報を活用した保育教材(以下 メディア教材)が保育において有効であるかどうか、その有効性の範囲を探るため、保育における身近なメディア情報の活用方法とその保育における活用の効果と課題について、本研究に先立って、3 ~ 5歳児の保育を対象とし検証を試みた。その結果、保育におけるメディア教材の活用による様々な効果、それと同時にメディア教材の活用における課題が明らかになった。これらの研究成果を踏まえ、本研究では、対象児年齢を2歳児に繰り下げ、2歳児の保育におけるメディア教材の活用方法とその活用の効果など評価について、またメディア教材及びその活用における課題について、実際の保育現場での子ども、保育者の姿を通して検証し、明らかにすることを目的とした。  メディア教材の活用方法については、保育者により展開の仕方は様々であるが、領域の特性や幼児の実体験との関連を考慮しながら計画、実施していることが把握された。このことは3 ~ 5歳児でも同様であったが、対象が2歳児でありその発達の特性から、基本的生活習慣に関する内容や直接的体験をより重視する傾向が窺えた。  メディア教材の効果については、①保育の多様な展開が可能となる点、②幼児期に育まれることが望まれる様々な資質につながる体験が得られる点、③保育を展開する上での有効性、④メディア教材そのものの保育教材の内容としての意義が挙げられた。これらは3 ~ 5歳児の場合も同じであったが、3歳未満児に対するメディア教材の活用については、否定的な意識、考えを持つ保育者も少なくないことがわかった。  メディア教材の課題としては、メディア教材の活用を可能にする環境の整備、保育者自身の情報機器、メディア教材活用に関する知識・技術の獲得や向上があげられる。このことも3 ~ 5歳児の場合と同様の結果となった。保育者自身の知識・技術の獲得、向上については、保育者養成機関としても保育現場と連携しながら、直接的な支援や学生の教育・指導という形での間接的な支援も課題となる。

収録刊行物

  • 研究紀要

    研究紀要 44 73-84, 2023-02-20

    名古屋柳城短期大学

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