ライドシェア車両の集中による渋滞を緩和する乗換スケジューリングの検討

抄録

自動車の交通渋滞により,交通時間の損失や排気ガスの増加など,様々な問題が発生している.そのため,交通渋滞の解決が期待されるライドシェアサービスが注目されている.ライドシェアサービスは車両を用いて,利用者を目的地まで送迎するサービスである.その際に,他の利用者との乗り合いを許容することで,一人当たりの移動コストを抑えることができる.ライドシェアサービスに従来の自家用車による移動を置き換えることで,道路を走行する車両数を削減し,渋滞を解消できる.しかし,ライドシェアサービスの普及に伴い,現在には存在していない移動の需要が発生すると,交通の様相が変化し,現在とは異なる要因による渋滞の発生が予測される.その要因の一つが,ライドシェア車両の移動需要が一か所に集中することによる,目的地周辺の道路における交通量の増加である.本研究は,この交通量の増加により発生する渋滞の解消を研究目的とする.本手法は,従来手法によるライドシェアスケジューリングに,渋滞状況に応じて乗換を発生させる処理を追加することで渋滞を緩和する.いずれかの道路で渋滞が発生している場合に,一定周期で,共通の渋滞道路を予定経路に含むライドシェア車両に対して,乗換指示を行う.乗換により,既にライドシェアサービスにより移動している利用者を,他の利用者を乗せた車両へ乗車させ,乗り合いを促進する.この乗換を数多く行うことにより,宛先へ向かう車両数を削減することで,車両の集中により発生する渋滞を緩和する.交通シミュレータにより提案手法の性能評価を行った.評価の結果,提案手法は従来手法と比較して,道路の渋滞による宛先への到着遅延が小さくなり,提案手法により,ライドシェアサービスが原因となる渋滞を解消する効果があることを確認した.

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