温熱快適性の個人差に関する生理学的解析

抄録

厚生労働省によると,熱中症による死者数は年々増加傾向にある.特に,高齢者の割合が大きく,2010 年以降熱中症による死者数のうち,約 80% が高齢者であった.本研究では,ウェアラブルセンサから得られる生理指標を用いて熱的快適性の推定,また性差や年齢差を考慮した際の推定精度への影響を,評価指標を用いて評価する.Nkurikiyeyezu らは心拍変動指標から,人の熱的快適性(暑くて不快・寒くて不快・快適)を最大 93.7% の精度で予測可能であると示した.また,思春期以後の男女では体温調節の過程に明確な違いが現れることや,65 歳以上の高齢者は 65 歳未満と比較して,入院率は有意に高く(p<0.001),入院期間も有意に長期となった(p<0.001)ことが報告されている.本研究では 4 つの温湿度環境と 3 つの活動を被験者に実施した.また,実験中被験者からは E4 リストバンドを用いて脈拍情報を取得した.5 分割交差検証の結果,F1 値に関して,どのデータセットに対しても Extra Tree が最も高い結果となった.分類モデルの比較での F1 値に注目すると,個人差を考慮しないデータセットで学習した結果,Extra Tree が最大で 36.65% であったのに対し,男性のみのデータセットにおいては 39.43% ,女性のみのデータセットにおいては 38.60% ,50 歳未満のみのデータセットにおいては 37.12% ,50 歳以上のみのデータセットにおいては 40.11% となり,個人差を考慮しないデータセットの F1 値よりも高い結果となった.

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ