アナログ中継局を用いるミリ波セルラシステムの電波伝搬AR可視化システム

抄録

2019 年に世界各国で商用サービスが開始された第五世代移動体通信システム (5G) では,従来使用されてこなかった 28GHz 帯や 39GHz 帯などのミリ波が採用されたことにより,4G 以前までの移動体通信システムと比較してさらなる大容量通信が可能となり,データ量の大きな AR や VR ,または 4K や 8K の映像などのコンテンツをリアルタイムに体験することが可能となった.そして,2023 年現在では,5G の次の世代である B5G (Beyond 5G) / 6G において,さらに周波数の高いテラヘルツ波の使用も検討されている.しかしながら,現時点では 5G のカバレッジは十分ではなく,4G の通信しか使用できない地域も未だに多い状況である.特に,ミリ波では従来使用されてきた周波数帯よりも高く,直進性や伝搬損失の増大や回折が起こりにくくなるため,エリア構築が難しくなるという課題があり,テラヘルツ波においても同様の課題が生じることが予測できる.そこで,これまで筆者らは B5G / 6G 世代のエリア構築に向けて,東京工業大学大岡山キャンパス内に構築してきた B5G 実証フィールドを活用し,無線環境の把握・可視化を行うためのデジタルツインや,アナログ中継機を用いたカバレッジ拡張の研究開発に取り組んできた.本稿では,デジタルツイン上でアナログ中継機の再現・シミュレーションを可能とし,AR を用いて電波伝搬や伝送特性の可視化を実施した成果について報告する.

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