5G環境でのIoTシステムのためのモバイル通信性能の評価

抄録

IoT 機器から収集された様々なセンサデータをクラウドで蓄積,解析し,活用することが期待されている.しかし,モバイル環境にある IoT データの収集では,各種サービスで要求される通信スループットや通信遅延を維持することができるかが課題となる.また,高性能なモバイル通信技術として 5G の活用が期待されているが,小規模データが大量に送信されるような IoT 通信で利用する際の性能特性は明らかではない.本研究では,IoT 用通信ライブラリを提供する SINETStream を用いて,5G 環境における IoT データ通信性能を調査する.5Gとは LTE をさらに進化させた通信規格であり,高速大容量,低遅延,多数同時接続の特徴を持つ.また,5G SA (Standalone) は,4G 用のコア装置を流用する NSA (Non-SA) に対して,5G 専用のコア装置と基地局装置を使用するものである.実験から,5G SA では IoT 通信スループットが従来の LTE よりも高くなる多いこと,通信スループットを高めるにはマルチスレッド通信やデータ圧縮が有効であることを確認した.一方で,IoT 通信のように小規模のメッセージを大量にクラウドに送信するような通信パターンではアップロード帯域で律速され,広いダウンロード帯域を持つ 5G モバイル通信を有効利用するのが難しいことも示唆された.

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