複数触覚情報の高品質無線伝送に向けた一検討

抄録

触覚情報を無線伝送路を介して送信することは,没入感の高いクロス・リアリティ (XR) を実現する足がかりとなる.既存の振動触覚情報伝送では,帯域に限りがあり,誤りの生じやすい無線伝送路において,高品質な振動触覚情報を提供するために,符号化手法が提案されている.しかしながら,符号化手法ではデコードの失敗によって情報の復元が不可能となったり,送信端末の符号化によって復元不可能な誤差が生じてしまう.そのため,既存手法では急激な品質の劣化が発生してしまう.本稿では,アナログ変調にもとづいた新たな振動触覚情報伝送手法を提案する.本手法では,振動触覚情報に対して,2 次元離散コサイン変換 (2D discrete cosine transform: 2D-DCT) を適用することで,時間領域から周波数領域へ変換する.その後,量子化を適用せず,送信信号として電力を割り当て,そのまま伝送する.また,複数の振動触覚情報を取得する実験環境を構築した.取得した振動触覚情報を用いて,既存手法および,提案手法の性能を解析評価した.無線伝送路の品質が悪い場合でも,提案手法が良い復元品質を維持できることを示した.

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