肉用牛経営におけるメタン削減技術の効果と課題 ─カシューナッツ殻液飼料の効果検証─

書誌事項

タイトル別名
  • Effects and Challenges of Methane Reduction Technology on Beef Cattle Farm Business ─Analysis of Cashew Nuts Shell Liquid as Functional Feed─
  • ニクヨウギュウ ケイエイ ニ オケル メタン サクゲン ギジュツ ノ コウカ ト カダイ ―カシューナッツ カクエキ シリョウ ノ コウカ ケンショウ―

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抄録

我が国農業における主要部門である畜産にも,温室効果ガス(GHG)削減が求められている。とりわけ乳・肉用牛は,畜産における GHG の主要な排出源とされているため,排出削減の取り組みが急がれるが,環境対策が個々の経営に目にみえる効果をもたらすものではないため,取り組みの普及は容易ではない。本論は,家畜消化管内発酵由来のメタン削減策となるカシューナッツ殻液(CNSL)に着目し,これを現存の肉用牛肥育経営において飼料に添加することによる技術的・経営的効果を明らかにした。三重県伊賀市の牧場における 2,304 頭の牛個体データおよび同期間に給与された月毎の飼料データを用いて,CNSL 給与前後の比較分析を行なった結果,牛個体の増体に有意な効果があり収益の向上につながること,その効果は飼料 費の上昇を上回ることを示した。この成果は,今後 CNSL による肉用牛の GHG 削減効果が確定し,普及を進めていく際,肉用牛生産者に導入メリットを明示することができる点で有効であり,J-クレジット認証取得などを通じて,実需者や消費者にも PR していくことも期待される。一方,その普及に際しては,飼養環境や血統などの特質に応じた飼料設計の観点から支援することが課題となるとともに,政策の視点からは,飼料価格高騰対策として補填金の交付等を行う場合,GHG 削減に寄与する飼料の利用を促すようなインセンティブ設計が必要になることを指摘した。

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