エマソンのNature の曖昧性― 一元論から進化論へ ―

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  • The Ambiguities of Nature: Emerson’s Essay to Integrate Monism into Evolution
  • エマソン ノ Nature ノ アイマイセイ : イチゲンロン カラ シンカロン エ

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抄録

Ralph Waldo Emerson のNature(1836)は、“human nature” を考える上で、科学的な自然観、とりわけ、進化論的自然観から発想された点で革新的である。エマソンが伝え続けた“the infinitude of theprivate man”、私人の「無限性」、つまり、「神的普遍的精神」はNature では“Spirit” として論じられる。それは、エマソン生涯のテーマである“Natural History of Intellect” の「知性」に相応し、このテーマは、自然科学、とりわけ、ゲーテの『植物変態論』はじめ、エラズマス・ダーウィンの動植物学や、天文学や地質学など、進化論につながる科学的知見により、聖書6000 年の世界観を更新し、1844 年の同題のエッセイで明示された“the secularity of nature”、人類を生んだ「広大な周期性を持つ自然」に基づく人間性を提示しようとする試みを表わしている。 自然神学を受け入れたユニテリアンの「改良」の思想が普及させた表現を用いる曖昧性は残るが、“The Rhodora”、“Each and All” など同時期の詩にはゲーテが鼓舞した有機的な全体として「生態系」的な自然のとらえ方が表現されており、1849 年版Nature の題辞をネオ・プラトニストの言葉から、ゲーテの植物学から学んだ進化論的自然観を表す自作の詩に変えたことにも、Nature の現代的進化論への志向が読み取れる。

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