複雑系としてのサイバー犯罪

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タイトル別名
  • Cybercrime as a Complex System
  • フクザツケイ ト シテ ノ サイバー ハンザイ

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抄録

複雑系システムとは、要素と全体の相互作用ないし関係性によって形成される一定のまとまりを指す。その代表例は生態系や免疫系であり、柔軟で有機的なシステムを包含する概念である。中でも重要なのは、自己自身を維持する自己組織性システムであり、普遍的法則性に抗う本質的な個性を有する。さらに人間やその集団は欲求や価値観を持つがゆえに、自分自身を成長させる自己成長性、新たなシステムを構想してそれを実現する創造性を獲得する。人間によって創造された新たなシステムは、人間が設計した法則性に従うが、それは必ずしも永遠不変なものではない。  人間の創造性によって新たな法則性に従うシステムが構築されていくのがサイバー空間、サイバー犯罪であるから、普遍的法則性の解明を目的として発展した近代科学の方法のみによっては解明が難しく、複雑系システム論による分析が必要となる。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 127 (9-10), 1-50, 2021-03-29

    法学新報編集委員会

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