中国の面会交流権制度の実情と課題

書誌事項

タイトル別名
  • The Present Situation and the Future of the Visitation Rights in China
  • チュウゴク ノ メンカイ コウリュウケン セイド ノ ジツジョウ ト カダイ

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抄録

中国では,2001年の婚姻法改正により,面会交流権は,子を直接養育していない父母の一方の権利として明文化された。この立法当時から,面会交流権の法的性質はどのように理解されるべきかをめぐって,学説では多様な議論が展開されてきた。また,中国では祖父母が子の養育に協力することが多く,その結果,祖父母による孫との面会交流請求が顕著に増えてきた。そのため,「中華人民共和国民法典」(2021年1 月1 日より施行)を審議する過程においては,祖父母の面会交流権を含めた,面会交流権の法的性質に関する議論が盛んに行われた。また,近年では,子の最善の利益を実現するために,子の意思を把握するための制度構築や,面会交流の実行性を担保するための法的対応などの手続法上の整備を模索されている。  本稿では,まず中国における面会交流権制度の概要と学説の展開を考察する。続いて,各種の統計資料を用いて,面会交流権制度を取り巻く環境及び実務上の運用状況を紹介し,中国の面会交流権制度が抱えている問題点を分析する。最後に,近年,新たに現れてきた課題に関する議論を検討したうえで,若干の私見を述べる。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 128 (1-2), 63-97, 2021-07-15

    法学新報編集委員会

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