2021年における西之島の陸上生物相

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  • Terrestrial biota of Nishinoshima Island, the Ogasawara Islands, in 2021

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抄録

西之島は2019年12月から2020年8月までの噴火により全域が溶岩と火山灰に被覆され、旧西之島由来の陸地のない完全な新島と言える状況となった。この島の陸上生物相の現状把握のため、2021年7月と9月に調査を行った。無人航空機による調査の結果、カツオドリ、アオツラカツオドリ、クロアジサシ、セグロアジサシ、オオアジサシの繁殖が確認された。陸上に設置した自動録音装置ではオナガミズナギドリの飛来が確認された。上陸地探索で上陸した北部の海岸ではカツオドリの死体は分解が進んでいなかったものの、死体下の砂礫からノミバエ類の蛹が確認されたほか、消化管内からハマゴウの種子が検出された。このほか菌類らしき構造が確認されたが、植物は確認されなかった。海鳥の繁殖成功度は低く、現在の西之島はエコロジカルトラップになっている可能性がある。海鳥は重要な生態系機能を持ち生態系成立プロセスに大きな影響を与えるため、初期の鳥類相変化のモニタリングが不可欠である。

収録刊行物

  • 小笠原研究

    小笠原研究 49 71-86, 2023-03

    東京都立大学小笠原研究委員会

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