2021年における西之島総合学術調査の概略

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タイトル別名
  • Overview of the Nishinoshima comprehensive scientific research project, in 2021

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抄録

小笠原諸島の西之島は2013年から2021年までに5度の噴火で元の陸地は全域が溶岩に覆われ、火山灰が堆積して大地がリセットされた。この島は太平洋上に孤立し、最寄の陸地から130kmも隔離された無人島であることから、海洋島における生態系の一次遷移を人為的影響のない状態で観察できる世界に例のない場所と言える。生物、地質及び火山活動における網羅的な分野の調査を噴火直後から実施することで、火山島の形成過程、噴火による生物相への影響、新たな遷移の開始時点の状況等を把握することができる。そこで、西之島の自然環境の最新情報を記録して科学的価値を評価するための総合学術調査が企画され、2019年調査に続き、2021年7月、9月の2度にわたり、モニタリング調査を実施した。新規に海域調査を実施したほか、UAVやAUVを活用した新規の調査も取り入れた。本調査は環境省とともに、東京大学及び日本放送協会との連携により行われている。調査の実施に当たっては、火山活動が活発な島における安全管理には十分配慮したほか、調査による人為的な影響を最小限に抑えるため、外来生物の侵入を防止するための検疫を徹底した。

収録刊行物

  • 小笠原研究

    小笠原研究 49 1-43, 2023-03

    東京都立大学小笠原研究委員会

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