地域健康危機における住民ニーズへの保健師の支援

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  • Support of the Public Health Nurse for Nursing Care Needs during a Health Crisis in the Community
  • チイキ ケンコウ キキ ニ オケル ジュウミン ニーズ エ ノ ホケンシ ノ シエン

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抄録

本研究では、保健所保健師として地域健康危機に対応するには、平常時からどのような取組みや準備をしておくべきかを、自然災害発生を例にして具体的に明らかにすることをめざす。なお、研究を進めるにあたっては、災害発生時における地域住民ニーズを起点として考える。  新潟中越地震派遣保健師としての活動実績と、人工呼吸器装着中の在宅療養患者への援助実績から、災害発生時の一般住民及び在宅療養患者の援助ニーズを明らかにした。さらに、保健所管内市町村の災害対策に関する現状把握及び被災時に備えた住民や市町村職員等への普及啓発を通じ、必要な支援を検討した。  その結果、被災地域住民の援助ニーズは身体面、精神面、生活面、総合的な援助ニーズに分類された。地震によりひきおこされた独自の健康問題もあるが、日々の生活状況を反映している課題もあった。また、在宅要援助者の予測された援助ニーズは、人工呼吸器の内臓バッテリーの持続時間内に早急に入院受け入れ先が確保され搬送されること、入院にむけての緊急連絡を円滑にしたい等であった。  また、住民・市町村職員等への普及啓発の結果、地域には慢性疾患療養者が多いことがわかった。保健師等普及啓発参加者は、健康危機管理を自分たちの問題として捉えることができていないことを課題とし、要援助者対策の必要性や日々の活動での地域の実態把握の必要性を認識していた。  以上により、地域健康危機時の住民ニーズは、管轄地域を把握することにより予測可能であること、保健師には、具体的な災害準備の取組みの推進、平常時からの要援助者の把握と個別の療養状況に応じた準備及び関係機関との連携、住民同士の支えあい機能の強化等の役割があること、保健所保健師には、管内市町村の準備状況に応じた働きかけ、他職種への災害時の保健活動に関する理解の促進等の役割があることが明らかになった。

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