国家公務員の幹部供給源に関する変化 --国際比較の視点も交えて

HANDLE Web Site オープンアクセス

書誌事項

タイトル別名
  • Changes in the Sources of Senior Officials of the Central Government: With Some Implications from International Comparison
  • コッカ コウムイン ノ カンブ キョウキュウ ゲン ニ カンスル ヘンカ : コクサイ ヒカク ノ シテン モ マジエテ

この論文をさがす

抄録

戦後の官庁では,米国型の国家公務員法の建前とは裏腹に,上級・I種試験採用者を内部育成する「いわゆるキャリアシステム」の運用が続いた。2000年代以降の制度改革では,試験再編や任期付職員の新設など開放性を高める試みもなされたが,改革の柱は,政治的機能の代行という幹部官僚の職責を変えぬまま首相への従属を強めることを意図した人事一元管理の導入であり,むしろ従来型の人事慣行・政官関係が固定化される結果となった。登用される幹部の大部分は,近年も内部育成者である。一方,主要国の幹部登用は,内部育成型か開放型か,成績主義型か政治的関与型かという2つの軸で分類できる。独仏は上級試験合格者のみが幹部登用の資格を持ち,更迭後の保障もある。幹部昇進見込みも計画的育成もない米国では職業公務員の人気は常に低い。英国は1990年代に開放型に転じた一方で成績主義を貫いているが,要件を満たす人材の確保に苦慮し,大臣と官僚との軋轢も目立つ。これらの国々との比較からは,民主的統制という理念だけでは人事管理は行き詰まること,政治が幹部官僚に要求する職責の実態を直視する必要があること,役割が務まる人材確保には労働市場での相応の誘因力を要するが,公務の場合は有権者の理解という制約もあることなどが浮かび上がる。

特集 公務員の職務と働き方

収録刊行物

詳細情報 詳細情報について

問題の指摘

ページトップへ