人間の尊厳に基づく人権概念と日本の在留許可 : 国内法および国際法を通じた比較的考察

書誌事項

タイトル別名
  • Reception of Human Rights based on Human Dignity to the Residency Permission through Japanese Constitutional Law and International Law
  • ニンゲン ノ ソンゲン ニ モトズク ジンケン ガイネン ト ニホン ノ ザイリュウ キョカ : コクナイホウ オヨビ コクサイホウ オ ツウジタ ヒカクテキ コウサツ

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抄録

「人権」とは,人間が人間である以上,生まれながらに当然有している基本的な権利を意味する。人権の根源にある価値観は「人間の尊厳」であるといわれる。これは,人間を自由で自律した人格の担い手として尊重することである。人間の尊厳に基づく人権概念の把握は,近代以降の憲法を通じて国内社会に受容されていった。第 2 次大戦後,人間の尊厳は国際連合の実践を通じて国際人権法分野の基本的価値原理として位置づけられてきた。  ただし,人間の尊厳が至上の価値観であることへの国際社会の理解は深まりつつあるものの,これが人類の共通利益として十分に受容されているとはいえない。ゆえに,人権保障は各国憲法下での国内法秩序における中心課題であるが,国際法上は国家の実定法上の義務というよりも,将来確立すべき立法論的な義務として捉えられてきた。しかし,今日では超大国による体制的な均衡が崩れ,宗教や民族等を理由とした様々な人権問題が生じている。日本においては,少子高齢化の進展に伴い一層の外国人労働力を求める傾向にある。この点でも,人間の尊厳に基づく人権概念の受容が求められており,今後の在留許可の在り方に対して注視していく必要がある。

収録刊行物

  • 法学新報

    法学新報 128 (10), 653-671, 2022-03-30

    法学新報編集委員会

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