家庭科教育における食育指導の地域連携実践 ―家庭と地域及び保幼小連携による「自己有用感」を育む取り組み―

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  • A Practice of Cooperation with Local Institutions for Home Economics Education –A Cooperation with Nursery Schools, Kindergartens, and Elementary Schools for Dietary Education.–

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抄録

平成 29 年告示学習指導要領では,小学校での家庭科教育の実施は 5 年生からである.それに先立ち,本報告は,おおよそ同じ対象児に対して,5 歳児または 6 歳児の年長児時点と,11 歳児または 12 歳児の小学校 6 年生時点に,家庭科教育の基礎となる教育内容,特に食育について指導した実践について記している.  実践報告 1 では,9 か月に渡り,年長児が,子ヤギを連れて,子ヤギと一緒に大豆を育てることによって,他者への想いやりや,自己有用感を育む過程を丁寧に積み重ね,その姿を保護者の協力のもと,一人一人のアルバムにして記録に残したものである.これは,家庭科教育のレディネス形成に寄与すると考える.  実践報告 2 では,小学校 6 年生時期に 6 か月に渡り,大豆と小麦を麹にしたしょう油麹から,もろみを仕込み,しょう油を絞り,そのしょう油を使って調理した実践や,保護者へ感謝の会の際,一緒に食事を楽しんだあと,家庭に持ち帰るまでの実践を報告した.これは,家庭科教育の食育の指導である.  ふたつの実践で共通するねらいは「食に関する取り組みを通して,子どもが『自己有用感』を実感する経験を積み重ねること」である.本報告の意義は,学校教育の中だけの家庭科教育にとどまらず,保育所,地域,家庭,そして小学校に関わる多様な方々との地道な連携にある.このような取り組みによって,子どもは,知識だけの家庭科教育の学びではなく,自分たちの生活様式を生活文化や習慣として主体的に変えていく,生活に根づいた家庭科教育の学びを獲得していくと考えられる.

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