『念仏鏡』の「釈衆疑惑門」について:慈愍三蔵慧日の諸行観と関連して

書誌事項

タイトル別名
  • 『 ネンブツキョウ 』 ノ 「 シャクシュウ ギワクモン 」 ニ ツイテ : ジビンサンゾウ エニチ ノ ショギョウカン ト カンレン シテ
  • Regarding “Shizhong- yihuo-men” of the Nianfo jing:In Relation to the Various Views of Cimin Sanzang Huiri

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抄録

唐中期の浄土教典籍である『念仏鏡』(道鏡・善道共撰)には「釈衆疑惑門」という他宗派、他学派に対する論難がおこなわれる六項目からなる編目がある。この六項目の内、(1)「念仏対三階門」、(2)「念仏対弥勒門」、(3)「念仏対坐禅門」の三門はそれぞれ三階教、弥勒信仰、禅宗という批判の対象となる集団が特定できるのであるが、(4)「念仏対講説門」、(5)「念仏対戒律門」、(6)「念仏対六度門」などは、論難の対象が判然としない。特に(6)「念仏対六度門」という六波羅蜜を念仏に集約する編目については、対象となる学派が存在せず、編纂者の主観が反映されているとも言われており、本書の撰述背景を解明する上で重要である。 この問題については同時代の浄土教家である慧日との思想的連関を検討することで解明に繋がると思われる。具体的にはまず『念仏鏡』の成立に影響を及ぼした大行という浄土教家と、慧日の諸行観を確認する。ついで『念仏鏡』編纂者たちの諸行観を論じ、その上で(6)「念仏対六度門」の思想史的位相を解明していく。この作業によって本箇所の批判対象者が慧日であることが明らかになると予測される。

大行

『安楽集』

『浄土慈悲集』

六波羅蜜

念仏三昧

identifier:BR010800011758

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