『老人と海』とクィアなカジキ
Bibliographic Information
- Other Title
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- "What Makes the Underwater Part of the Iceberg": Unraveling Hemingway's Subtle Discourse on Gender and Sexuality in The Old Man and the Sea
Abstract
アーネスト・ヘミングウェイは、男性的な作家としての側面が長らく取り沙汰されてきたが、男女の性役割の交代や両性愛、同性愛などの主題を扱った『エデンの園』の死後出版以降は、むしろこの作家やその登場人物たちの両性具有性やクィア性が注目されつつある。しかしながら、『エデンの園』とも執筆時期が一部重なる中編小説『老人と海』に関していえば、従来の寓話的解釈に基づいて、作家自身や登場人物たちの男性性への執着やミソジニーに着目する批評の傾向は大きくは変わっていない。本論は、雄として言及されるカジキが実は生物学的には雌であった可能性が高いということ、そしてヘミングウェイ自身もそのことを十分に認識していたという事実を手がかりとして、ヘミングウェイの複雑なジェンダー観やセクシュアリティ観の一端を『老人と海』に読み込む試みである。
Journal
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- 駒澤大學文學部研究紀要
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駒澤大學文學部研究紀要 81 27-40, 2024-03
駒澤大学
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Keywords
Details 詳細情報について
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- CRID
- 1050581070788829312
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- Text Lang
- ja
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- Article Type
- departmental bulletin paper
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- Data Source
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- IRDB