離島における介護職者の防災・減災に対する認識に関する研究 : 奄美市と五島市の比較

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  • Awareness of caregivers regarding disaster prevention and mitigation on remote islands: Comparison between Amami City and Goto City

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抄録

本研究の目的は、豪雨災害の起こった離島と大きな災害のない離島の介護保険施設に勤務する介護職員の防災・減災に対する認識を明らかにすることで、その実態から防災・減災対策の課題を明らかにすることである。対象は、奄美市、五島市の避難所に指定されている介護福祉施設に勤務する介護職者である。データ収集は半構造的面接法とし、インタビューガイドを作成し個別に実施した。調査協力者ごとに逐語録から防災に対する認識についての記述を抽出した。そして、質的分析を実施し、サブカテゴリーを集約し、カテゴリーを生成した。 大きな自然災害が起こったことのある離島と災害のない離島に勤務する介護職者の防災認識について調査し、分析した結果、災害の有無に関係なく、共通していたことは、介護職者の役割として、【平常心を保つこと】、【生活環境調整】の必要性であった。奄美市の介護職者では、退所後の視点に乏しいが、避難所での生活に注視し具体的イメージを持っていた。五島市の介護職者では、避難所の具体的イメージは乏しいが、トリアージ・連携・退所後介護まで意識していた。 これらのことからは、両者共通の災害直後から避難所生活を支援する上での、利用者・避難者を守るための行動として、防災の認識が明確になった。一方、介護職者には災害の有無に関係なく、両者共に危機感の欠如があることも明らかになった。 以上のことから、介護職者避難所での短期的支援だけでなく、退所後の長期的支援にも具体的イメージも持ち、【危機感の欠如】を埋めるためには、リアリティーのある訓練や伝承を繰り返してゆくことが大切である。

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