低身長児に対する成長ホルモン治療の進歩について

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タイトル別名
  • Progress in Growth Hormone Treatment for Short Stature Children
  • テイシンチョウジ ニ タイスル セイチョウ ホルモン チリョウ ノ シンポ ニ ツイテ

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低身長の原因である成長ホルモン分泌不全/成長ホルモン欠損症(growth hormone (GH) deficiency:GHD)の治療のために,ヒト下垂体から抽出した GH 製剤(pituitary-derived human GH:phGH)が日本では 1975年に承認されたが,供給量は限られており,すべての GHD による低身長児に投与することはできなかった.しかし,1988 年に遺伝子組換え hGH (recombinant hGH:rhGH)が開発され,それ以降 rhGH が十分に供給されるようになり,GH 治療の状況は劇的に改善した.また,GH-IGF-I (Insulin-like growth factor-I) 軸の成長調節機構がより解明されたため, rhGH は GHD に対する補充投与だけでなく,薬理学的治療として高用量 GH が一部の GH 分泌不全のない非 GHD 低身長児の治療にも使用されるようになった.  GH 治療の安全性への懸念としては,GH の抗インスリン作用と細胞増殖活性に関連する 2 型糖尿病と白血病の発生であるが,長期調査の結果,現在,小児における rhGH の投与は安全と考えられている.GH 治療の将来については,2021 年に週 1 回の投与ですむ持続型 GH 製剤が開発され,毎日の自己注射が不要となった.その結果,成長ホルモン治療のアドヒアランスが向上し,良好な治療効果が得られることが期待される.  本総説では小児の低身長に対する GH 治療の進歩について述べた.

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