明治期の少年矯正施設における舞踏遊戯の導入とその意義

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抄録

明治期に存在した川越児童保護学校では男子の懲治人を対象に教育的処遇がなされ、その一環として舞踏遊戯が実践されていたことは周知のとおりである。本研究は同時期の学校教育におけるダンスの実践と比較しつつ川越児童保護学校の舞踏遊戯の意義を検討した。舞踏遊戯は「共同一致の精神」など道徳面での効果に加え、子どもが好み、職員と子ども、さらには職員同士の「調和」にも成果が見られた。同時期の学校教育におけるダンスとの関連では、共通点として、いずれも円舞より方舞が主であった。相違点としては、ダンスに対する道徳面からの捉え方、ダンスを学ぶ者の性別が挙げられる。学校教育ではダンスは女子を対象とし、不健全な思想を誘発する虞があるとみなし限定的な実践を行ったが、川越児童保護学校では男子を対象に舞踏遊戯を行い、子どもの道徳面への効果を見出だすなど、学校教育とは異なる視点からダンスの意義が評価されていた。

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