源順の対句的対称的な詠歌様式(「対の歌」) : 併せて『宇津保物語』『篁物語』の対称構造の四首比較

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  • ミナモトノ シタゴウ ノ ツイクテキ タイショウテキ ナ エイカ ヨウシキ ツイ ノ ウタ アワセテ ウツホモノガタリ タカムラモノガタリ ノ タイショウ コウゾウ ノ 4 シュ ヒカク

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抄録

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源順に特徴的な詠歌様式の問題を考察した。源順に認められる、元歌に対して表現上対称的構成をなす歌を、安部(2022)で「対句的和歌」(「対の歌」)と仮称した。本論では、「対の歌」の実例を新たに『古今和歌集』『恵慶集』その他から補充し、特徴と来源を考察した。詠歌様式には、詩序のほか、紀貫之、『伊勢物語』の影響が認められた。また『後撰和歌集』において、「贈答歌」はその基本が完成して激増し、露わに〈本〉から表現を摂取する〈本歌取り〉が存在していたと指摘される(小山順子)。それは源順の「対の歌」が多く残された時期と重なっており、源順の詠歌特徴も影響していると考えられた。また『宇津保物語』と『篁物語』にある「見立て」が一致する(津本信博(1977))類似構造の贈答歌二組(計四首)は、構成や語・句など表現が類似しかつ文法的構造も対称的である。その特徴は源順の詠歌様式と同じものと見なせる。これら2組の和歌は源順作である蓋然性が高い。それは2作品の原作者として源順が擬せられていることと一致する。上記4首の内『篁物語』の1首には三十一文字に不足する部分がある。本稿では、対称的な関係にある『宇津保物語』の歌を新たな材料として、欠落部分の復元を試みる。

研究論文

収録刊行物

  • 人文

    人文 (22), 23-59, 2024-03

    学習院大学人文科学研究所

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