ダイナミック・ケイパビリティと組織変革

小沢, 和彦

type:text

グローバル化などにより組織を取り巻く環境はめまぐるしく変化している。経営戦略論の文脈では，ダイナミック・ケイパビリティが環境変化への適応と関連深いと想定されてきた。ダイナミック・ケイパビリティについては，その概念自体が十分に明確でないという意見や，体系的に議論されていないという意見もあるものの，経営戦略論における有益な理論の一つとして注目されている。一方で，環境変化への対応について，経営組織論の中で注目されてきた概念が組織変革である。既存研究においては，組織変革とダイナミック・ケイパビリティは関連深い概念と想定されてきた。具体的には，（本論文では戦略的転換も組織変革の一つの種類と捉えるが）ダイナミック・ケイパビリティと組織変革の関係性については，前者は後者の先行要因，もしくはトリガーになりえると既存研究では多くの場合に想定されてきた。しかし，ダイナミック・ケイパビリティ論が組織変革研究にどのように貢献できるかという点については，必ずしも十分に論じられてはいない。このような現状を踏まえて，本論文では組織変革研究に対するダイナミック・ケイパビリティ論の可能性について検討する。 The environment surrounding the organization changes rapidly. Accordingly, two streams of research have explored the causes of organizational adaptation. In one stream, researchers on organizational change have examined its antecedents and consequences. In the other stream, scholars on strategic management have investigated the effectiveness and problems of dynamic capabilities. Such prior studies have argued that dynamic capabilities can be a source of organizational change; however, the research stream on organizational changes has received limited attention. Hence, this study examines the relationship between organizational change and dynamic capabilities.

菊澤研宗教授退任記念号論文

ダイナミック・ケイパビリティと組織変革

Bibliographic Information

Search this article

Description

Journal

Keywords

Details 詳細情報について

Export

Report a problem