「殿位記」に関する基礎的考察
説明
位記とは、律令制において位階を授けられる時に与えられた文書である。授与された位記は各人が保管し、位記の控えとなる案は式部省もしくは兵部省(女官の場合は中務省) により管理された。何事もなければ再び取り出されることのない性格の文書であった。ところが、位記が再び取り出される時がある。それは罪を犯し刑を受ける際、その付加刑として位階が降される場合である。降される位階の位記は意味を失うこととなり、内印(天皇御璽)あるいは外印(太政官印) の捺された位記を破棄する必要が生じてくる。その位記破棄の儀式が「殿位記儀」である。本稿は位記を破棄すること、すなわち「殿位記」に注目し、その変遷や意義の視点から律令位階制の変質を考えてみたい。\nすでに先学による位階制の研究は枚挙に逞がないが、位記について専論するものは管見の限り多くない。屋上屋を架す可能性もあるが、古代における位記あるいは位階制の意義を一瞥したい。
収録刊行物
-
- 奈良史学
-
奈良史学 (27), 87-105, 2010-01-01
奈良大学史学会
- Tweet
詳細情報 詳細情報について
-
- CRID
- 1050582008179050752
-
- ISSN
- 02894874
-
- 本文言語コード
- ja
-
- 資料種別
- departmental bulletin paper
-
- データソース種別
-
- IRDB