記憶の発掘と「僕」という存在の確認 : 村上春樹短編小説「中国行きのスロウ・ボート」論

書誌事項

タイトル別名
  • Unearthing Memory and Confirming the Existence of ‘I’ : Haruki Murakami on His Short Story A Slow Boat to China
  • キオク ノ ハックツ ト ボク ト イウ ソンザイ ノ カクニン : ムラカミ ハルキ タンペン ショウセツ チュウゴク ユキ ノ スロウ ボート ロン

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説明

「中国行きのスロウ・ボート」は村上春樹が創作した初めての短編小説である。この短編をめぐって、今までの研究は概ね〈中国〉、〈中国人〉のような固有名詞からアプローチし、解読を行なったが、主人公である「僕」がいかに中国人を認識するかに焦点を絞って、分析するものも少数でありながら存在している。記憶という角度から見れば、「中国行きのスロウ・ボート」は中国人に対する「僕」の認識を表現したものではなく、中国人の存在がいかに「僕」を変えたかことを表した小説と言っていいだろう。つまり、中国人に関する話は「僕」に人の個体性と社会との関係を考えさせ、「僕」はそれを通じて自分の存在を確認したわけである。

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