学童期の子どもの心理臨床的理解:物語り(narrative)の視点から

説明

小学校入学から思春期までのあいだに位置する学童期は,内的に穏やかな時期のため新しい知識や考え方を吸収し,外的適応へとエネルギーが向くと理解されてきた。社会の変化にともない,学びや学校のあり方にも多様性が求められる中,学童期の子どもの心のテーマが,勤勉性と劣等感の葛藤を抱きながら,その集団社会から「適格」と評価承認されることへの敏感性と捉え直した。小川(2007)の物語を作り出すエピソードを参照しながら,学童期の子どもがプレイセラピーの中で人形や玩具に仮託して物語を語る体験や,物語が語られている間は語り手も聴き手もストーリーに巻き込まれ,対話ではなくモノローグのような特徴があること,10歳の頃の物語化の難しさなどを捉え,子ども自身が心理的な困難さに取り組む心理臨床的支援のあり方を検討した。

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