成人気管支喘息 up to date

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  • Up to Date of Adult Bronchial Asthma
  • セイジン キカンシ ゼンソク up to date

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喘息の有病率は年々増加傾向だが喘息死は減少してきている.喘息死者数は 70 歳以上にピークがあり若年者は少数である.注目されている喘息の病態は,気道上皮傷害により上皮から産生される interleukin(IL)-33, IL-25, thymic stromal lymphopoietin(TSLP)が Th2 細胞,group 2 innate lymphoid cells(ILC2)や dendritic cells(DC)に作用し自然免疫と獲得免疫のクロストークの橋渡しをし病態を形成している機序である.近年の気道上皮の解析の進歩により tuft 細胞が IL-25 産生細胞であることが示唆されている.喘息の治療では,長期管理薬の吸入ステロイド(inhaled corticosteroids, ICS),長時間作用性 b2 刺激薬(long-acting b-agonist, LABA)と長時間作用性抗コリン薬(long-acting muscarinic antagonist, LAMA)が 1 つの吸入容器で 1 日 1 回吸入型の single inhaler triple therapy(SITT)製剤が使用できるようになり,薬剤の相加相乗効果や患者のアドヒアランスの向上による良好な喘息コントロールが期待できる.吸入剤や経口コルチコステロイド治療にてもコントロールができない重症喘息患者はステロイド抵抗性があると考えられ生物学的製剤が使用される.血中好酸球数や呼気一酸化窒素(FeNO)の値が高いタイプ 2 炎症を呈する患者が生物学的製剤の良い適応である.喘息治療の進歩により臨床的寛解,すなわち症状なし,増悪なし,経口ステロイド治療無し,肺機能の安定化といったことが達成されうる患者が約 2〜3 割いる.今後の課題として,臨床的な寛解が得られない患者は依然として多いため,さらに精度の高い治療選択を行うためのバイオマーカーと薬剤開発が求められている

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