日本における公的部門・民間部門の教育支出の変遷 ―教育段階別の記述的分析―
説明
本稿では、国公私立の小・中・高等学校・大学の教育支出について、公的部門による教育支出(公教育支出)、家計が学校に支出する授業料などの直接的な支出(民間学校教育支出)、塾費用など学校以外の教育機関への支出や、通学費用など教育に関連した間接的な支出(民間学校外教育支出)に区別し、1955年度から2018年度までの64年間にわたる長期のデータセットを整備し、その変遷を記述的に分析した。 結果は、第一に、公立小・中・高校では2000年代に入って一人当たり公教育支出や民間学校教育支出が減少から横ばいに転じるが、近年は再び緩やかな増加傾向を示していること、一方で、公立小・中学校では、民間学校外教育支出が2000年代に増加し、近年は減少傾向を示していることが分かった。また、私立高校においても、近年の民間学校外教育支出の減少傾向という点は共通しているが、公立高校や私立小・中学校に関しては、民間学校外教育支出は近年緩やかな増加傾向を辿っていることが分かった。第二に、私立中学校の民間学校教育支出は私立小学校のそれよりも大きく、逆に民間学校外教育支出は私立小学校の方が私立中学校より大きくなっており、私立小学校では中学校の倍以上の水準の民間学校外教育支出が確認された。第三に、公立高等学校について、2010年度からの高校無償化の影響で、授業料相当額分だけ公教育支出は増加し水準が切りあがった一方、民間学校外教育費に大きな変化はみられていないことが分かった。第四に、本稿で精緻に整備した公立大学の公教育支出データでは、建築費などの資本的支出の影響から90年代の変動が大きいが、近年は緩やかな増加傾向を示しながら安定的に推移していることが分かった。
収録刊行物
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- 経済研究所 Discussion Paper
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経済研究所 Discussion Paper 405 2024-09-11
中央大学経済研究所
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詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050583082063856640
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- 本文言語コード
- ja
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB