介護記録データを用いた体調不良予兆の分析と予測

書誌事項

タイトル別名
  • Toward Detecting Early Signs of Health Deterioration in Elderly Care Records

説明

本稿では,高齢者の体調不良を予測することを目的に,予測の難しいデータ,あるいは予測のしやすいデータの分析を行う.分析では,13 介護施設と1725人の高齢者から収集された介護記録データを使用する.まず,介護記録データから体調不良を予測する機械学習を行いその精度を評価する.その後,予測の簡単なデータ, あるいは難しいデータを明らかにするために 2 種類の分析を行う.1 つ目は,予測が難しい高齢者を特定することを目的とし,体調不良直前 7 日間における機械学習の出力確率を分析する.2つ目は,予測の難しいサンプルを特定することを目的とし,t-SNEによる次元圧縮を用いた分析である.結果として,介護記録データを用いて高齢者の体調不良を予測する機械学習においてバランス精度 0.75 を得た.その後,1 つ目の分析では体調不良日の直前数日にて機械学習の出力確率が徐々に高くなる高齢者のグループがおり,このような高齢者は予測精度が高いことがわかった.2 つ目の分析では,特徴量・目的変数を入力に t-SNE を学習することで,t-SNE の出力空間において予測の当たったサンプルが密集する箇所を特定した.検定により,このような予測の当たりやすいサンプルは食事量が前日から減り,排尿量・排便量が多いサンプルであった.これは,これらが体調不良の前兆であり,前兆がデータに現れるため予測が当たりやすいサンプルであること考えられる.

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