『ヴァインランド』再読 -その修辞的次元への考察-
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- 玉井, 潤野
- 京都大学大学院人間・環境学研究科共生人間学専攻
書誌事項
- タイトル別名
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- Rereading Vineland -An Essay on Its Figural Dimensions-
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説明
トマス・ピンチョン『ヴァインランド』(1990) は主に, アメリカ合衆国の政治的・社会的状況の寓話として解釈されてきた。しかしこのような視点は, 作品の物語の曖昧さを完全には説明できない。悪役はなぜまるで無関係の登場人物によって打倒されるのか?主人公とその母との再会がなぜ極めて短く描かれるのみなのか?本稿は, こうした問題に対して, これまで看過されがちであった『ヴァインランド』の修辞的次元からアプローチするものである。本稿は特に, 作中で用いられる特定の比喩(「犬」, 「樹木」, 「自動車」) が構築するテクスト内の構造に着目する。これらの比喩形象の相互連関が, 一見不可解な作品の物語を組織している。こうした構造は『ヴァインランド』の特定のコンテクストに依存する純粋に言語内的なものである。したがって本稿は『ヴァインランド』が, 作品外の現実からは独立した内的構造を持つことを示す。
収録刊行物
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- 人間・環境学
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人間・環境学 20 51-56, 2011-12-20
京都大学大学院人間・環境学研究科
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キーワード
詳細情報 詳細情報について
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- CRID
- 1050845760710819712
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- NII論文ID
- 120005367767
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- NII書誌ID
- AN10409834
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- ISSN
- 09182829
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- HANDLE
- 2433/180547
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- NDL書誌ID
- 023493766
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- 本文言語コード
- en
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- 資料種別
- departmental bulletin paper
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- データソース種別
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- IRDB
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- CiNii Articles