「心理的な事実」にもとづく世界の貧困削減 --チャンドラン・クカサスの政治理論を手がかりに--

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  • 奥田, 恒
    京都大学大学院 人間・環境学研究科 相関環境学専攻

書誌事項

タイトル別名
  • Reducing World Poverty Based on "Psychological Facts" --From Political Theory by Chandran Kukathas--
  • 「 シンリテキ ナ ジジツ 」 ニ モトズク セカイ ノ ヒンコン サクゲン : チャンドラン ・ クカサス ノ セイジ リロン オ テガカリ ニ

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抄録

本稿は, 「心理的な事実」にもとつく世界の貧困削減へのアプローチを探るため, チャンドラン・クカサスが提唱する寛容のリベラリズムについて論ずる.まず, リベラル・コスモポリタニズムとリベラル・ナショナリズムを和解させる試みを検討し, 後者が人々の「心理的な事実」を正義の源泉と見なすがゆえに成功しないと論ずる.それに対し, クカサスは, リベラル・ナショナリストと同じく「心理的な事実」を正義の源泉と位置づけるが、ナショナルな次元より小さいアソシエーションにおいて正義は実践されると主張する.彼は.変化に開かれた集合的な貧困削減と, 各アソシエーションによる片務的な貧困削減を許容する.加えて, クカサスの理想社会と貧困削減を同時に達成しうる方策として, 国境開放政策が積極的に評価されることを指摘する.

収録刊行物

  • 人間・環境学

    人間・環境学 25 129-142, 2016-12-20

    京都大学大学院人間・環境学研究科

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