朝鮮文化史における死者霊の供養

書誌事項

タイトル別名
  • チョウセン ブンカシ ニオケル シシャレイ ノ クヨウ
  • Chosen bunkashi niokeru shisharei no kuyo
  • Rituals for the repose of the dead in Korean cultural history

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抄録

type:text

本論は,I.朝鮮王朝前期の霊魂供養,II.チノギセナムクッの二部からなる。Iでは高麗末から朝鮮朝初期にかけての霊魂供養の諸相を歴史的に述べた。IIでは今日ソウルに伝わる死者霊供養のクッの実際を記述した。わたしとしては,IIにつながる歴史的背景,すなわちクッの前史をで述べるつもりであったが,それはかなり複雑で,ここに述べたことはやはり概略である。特に,クッのなかにソナン(城隍)がはいっていく過程は本論では取り上げなかった。それは別稿を要するに足る大きな課題である。しかし,ここに述べたことだけでも,巫覡のクッにはいろいろなものが流れ込んでいることが知られるであろう。 チノギセナムクッにどのような歴史を読みとることができるのか,それをここでは朝鮮王朝実録を用いて考えた。そして,そのあとで今日のクッをみていきたい。なお,いうまでもないが,IIにおいては歴史の叙述に役立つことだけを記したのではない。成立の順序をいえば,まずIIのおおよそができてからIを述べ,最後にもう一度IIに取り組んだということになる。 以下に述べることの大半は忘れられた歴史の部類に属している。それで一向に痛痒を感じない人もいるのだろうが,イエもムラも,およそ共同体と名のつくものに機能不全の生じている今日,それは振り返るべき,焦眉のこととおもわれる。

identifier:702805

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