失われた10年における銀行監督と会計

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タイトル別名
  • ウシナワレタ 10ネン ニ オケル ギンコウ カントク ト カイケイ
  • Ushinawareta 10nen ni okeru ginko kantoku to kaikei
  • Financial crisis and the lost decade

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抄録

type:text

1980年代の資産価格バブルは90年代に入って崩壊し,日本の銀行は巨額の貸し倒れ損失を被った。日本の監督当局は,自己資本比率規制を極めて緩やかに適用することで,資本不足になった金融機関の営業継続を容認した。この背景には銀行の経営悪化が表面化した当初は,当局も経営が悪化した金融機関を処理するための法的枠組みや予算措置が整っていなかったことが挙げられる。しかし1988年に金融不安に対応する強力な法的枠組みが用意されたあとも,当局は経営悪化した金融機関を大量に国有化するなどの抜本処理を大幅に進めることはなかった。これは,監督当局側にも国有化銀行を効率的に経営できる見通しが無かったからだと思われる。近年の日本経済の回復により,金融庁は緩んだ自己資本比率規制を正常化しつつある。

商学部創立50周年記念 = Commemorating the fiftieth anniversary of the faculty 50周年記念論文

収録刊行物

  • 三田商学研究

    三田商学研究 50 (4), 15-37, 2007-10

    慶應義塾大学出版会

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