中国民営上場企業のコーポレート・ガバナンス : 究極の所有者による実質支配とその問題点

書誌事項

タイトル別名
  • チュウゴク ミンエイ ジョウジョウ キギョウ ノ コーポレート・ガバナンス : キュウキョク ノ ショユウシャ ニ ヨル ジッシツ シハイ ト ソノ モンダイテン
  • Chugoku minei jojo kigyo no koporeto gabanansu : kyukyoku no shoyusha ni yoru jisshitsu shihai to sono mondaiten
  • The corporate governance of Chinese private companies listed in stock market : ultimate owners and pyramids

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抄録

type:text

成長目覚しい中国民営企業において,現在,究極の所有者(ultimate owner)といわれる個人・家族による,多重的な企業ピラミッド構造を用いた企業支配―集団支配―の弊害が大きな問題とされている。当稿では,2002年~2004年のパネルデータに基づく理論的・実証的分析によって,集団支配とそのガバナンス構造を通した民営上場企業に対する究極の所有者の影響が分析される。われわれは,集団支配の下,コントロール権と配当権の乖離の度合が上がるにつれ,究極の所有者の横領行為のインセンティブが高くなることを,また,上場企業のガバナンス構造が,それに対し調整作用をもつことを明らかにした。つまり,(1)株式の所有構造における内部株主の比率が高くなればなるほど,究極の所有者の横領行為のインセンティブが高まること,(2)取締役会における社外取締役の比率が高くなればなるほど,究極の所有者の横領行為が抑制されること,である。そしてわれわれは,そこから得られるインプリケーションとして,民営上場企業の集団支配に対するモニタリングを強化すると同時に,社外取締役の果たす役割に対する正しい認識が必要なこと,更に,良好なガバナンス効果を得るには,取締役会の独立性の強化と,内部ガバナンス・メカニズムの完備が必要であることを明らかにする。

商学部創立50周年記念 = Commemorating the fiftieth anniversary of the faculty 論文

収録刊行物

  • 三田商学研究

    三田商学研究 50 (1), 173-192, 2007-04

    慶應義塾大学出版会

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