都市部における更生保護活動の現況--東京都特別区部の保護司活動から

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タイトル別名
  • Current situation of offenders rehabilitation services in urban area: through activities of counselors for minors on probation in special wards of Tokyo
  • トシブ ニ オケル コウセイ ホゴ カツドウ ノ ゲンキョウ トウキョウト トクベツクブ ノ ホゴシ カツドウ カラ

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抄録

矯正施設の過剰収容の結果による仮出所者の増加、さらに都市化の進行や地域社会の連帯感の希薄化など、更生保護関係者を取り巻く負担は年々増大している。その潮流に制度の中核たる保護司や保護司組織はいかに対峙していくのか、この点は、時代の養成かつ喫緊の課題であると考える。今回の研究対象である東京都特別区部のS区は、都内で最も外国人登録者数が多いことや昼夜間人口差が激しいことなど、様々な点で日本の都市部地域を代表する地域であり、我が国の更生保護活動の中でも、文化や価値観が非常に多様な地域での保護司活動という点から注目されるべき地域である。 S区の保護事件の特徴として、他地区から転入してくるケースが多いだけでなく、またその動きが激しいことなどが指摘され、保護司にとっては居住確認調査等の業務が常態化している様子がうかがえる。これは、被保護者が地域に定着せず、また所在不明になるケースが多いなど流動的であることも示している。さらには、区民の世帯構成や居住環境などを見ると、更生保護制度の根幹を地域レベルで支える保護司活動の在り方にも、多大な影響を及ぼしている点も指摘される。保護司の高年齢化問題・新任保護司の発掘方法・幅広い職域及び年齢層からの保護司の委嘱など、いくつかの課題も見られるものの、現在、保護司組織が福祉関係者・団体との接点を持つ社会状況になってきたことを鑑みると、同地域の更生保護活動活性化の可能性も期待できよう。

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