相互行為としての近所付き合い : 個人化社会における個人尊重と人とのつながり

書誌事項

タイトル別名
  • An Association with Neighbors as Interactions : Esteem of the Individual and Solidarity in Individualized Society

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説明

近所付き合いで困ったことや不快に思った経験はあるが,地域の安心・安全のために近所付き合いは必要だと感じる人は多い。災害という「痛み」を住民が体験し,防災対策を地域の問題・課題として共有することから,近所付き合いは必然性を帯びてくる。しかし,それぞれが経験する「痛み」は異なっているため,「痛み」は個人に向かうベクトルをもつ。一方で「痛み」が語られることで,住民が当事者として主体となることを可能にするだけでなく,語られる場であるコミュニティにおいて,客体として存在する自己にもなっていく。こうして「痛み」は,個人に向かうベクトルだけでなく,共同性に開かれたベクトルももつようになる。主体であり客体でもある住民が,近所付き合いにおける関係性を構築するには,「助けられ上手」(木原・住民福祉総合研究所 2011),「依存先を増やしていく」(熊谷 2012,2014),岡(2013)や森川(2016)による自殺希少地域における住民同士の関係性から考えられる。ここでは,個人化した社会における個人尊重を原理としつつ,適度な距離感を保ちながらつながること,つまり「お互いの違いを認めたうえでつながる作法」(綾屋・熊谷2010)を探ることができる。

収録刊行物

  • ソシオロジカ

    ソシオロジカ 41 (1・2), 49-63, 2017-03-20

    創価大学社会学会

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