Waki Ranshitsu and Tsurezuregusa

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  • 脇蘭室と『徒然草』

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江戸時代後期の儒学者である脇蘭室(一七六四~一八一四)の著作の中に、『徒然草』とのかかわりを見出し、蘭室の精神形成と著述行為に与えた『徒然草』の影響力を考察する。主として取り上げる蘭室の著作は、四十二歳から四十三歳にかけて書いた回想記『見し世の人の記』と、二十三歳の歳末に書いた随想『歳蘭漫語』である。この両書を精緻に読み解くことによって、著述スタイルと思索の内容、そして文章表現の三つの面で、蘭室が『徒然草』の影響をいかに大きく蒙っていたかを明らかにする。本稿の考察は、『徒然草』が、後世の文学作品のみならず、思想家の和文においても大いなる規範として機能していることを解明することになる。ひいては、近代の批評家の述作にまで連なる散文の手本として、『徒然草』が日本の文学史上、極めて重要な役割を果たし続けてきたことを実証するための、一つの貴重な事例ともなろう。

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