イーフー・トゥアンの「場所」理論について

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  • A Development of Place Theory By Yi-Fu Tuan
  • イーフー・トゥアン ノ 「 バショ 」 リロン ニ ツイテ

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「空間」と「場所」については,様々な環境論が展開されている。しかし近似したこのニつの概念に対しては,人間の存在と「場所」を統一体としてとらえることは少ないように思う。本稿では,人間と「場所」とのつながりを研究している,イーフー・トゥアン(1930~)の「空間」に対する,人間の知覚経験の重要性と,それによって獲得する, 「空間」と「場所」の諸価値について取り上げ,その機能と意味について考察する。 トゥアンの人間の身体レベルからとらえる「空間」と「場所」理論においては,「空間」のなかに,自分を基礎づけようとするために用いる様々な「場所」は,個人的経験によってのみ存在する安全で自由なものである。一方で,急速に変化してしいく社会が,人間中心の「場所」を変化させてしまい,長い年月の安定した環境は望めなくなってしまっていることを,我々は考えなくてはならない。そこには,人間の現存在の持続性と,変異変遷する「空間」の問題が反映しており,人間にとって親密な「場所」の形成過程を探る上で,重要な意味をもつ問題である。

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