淡さの中で : 北宋以降の「淡」の美学的価値を中心に

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タイトル別名
  • アワサ ノ ナカ デ : ホクソウ イコウ ノ 「 タン 」 ノ ビガクテキ カチ オ チュウシン ニ
  • The aesthetic values of "dun"

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抄録

「淡」は中国美学において重要な概念のひとつである。「淡」を含む中国美学の概念グループが一定の美学的価値を確立したのは、北宋時代の文人官僚(本稿では特に欧陽脩、梅堯臣、蘇軾を中心とする)たちの活発な芸術理論によるところが大きい。北宋期の「淡」は、作品の味わいが無いことを指すのではなく、かえって味わいが深いことを指す。一見逆説のようであるが、実は『老子』の「道の口より出づるは、淡乎として其れ味わい無し」(第三十五章)の忠実な解釈であり、それだけでなく、「味」の根源として「無味」を位置づけている。文人たちの理論は、「特定された個別の味」を超えた味=「無味」を感知するよう促し、「淡」の美学的価値を最大限に高めた。本稿では、あらゆる味を含む中国的「無味」を味わうことで、究極の審美体験を目指した北宋以降の「淡」の美学の構造を説いたものである。

収録刊行物

  • 人文科学

    人文科学 19 61-78, 2014-03-31

    東京 : 大東文化大学人文科学研究所

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