審査論文 幻の「国府台大学校」建設計画

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タイトル別名
  • The plan of Konodai University which was not implemented
  • シンサ ロンブン マボロシ ノ 「 コウノダイ ダイガッコウ 」 ケンセツ ケイカク

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抄録

40019736606

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市川市国府台は明治から昭和にかけて陸軍教導団に始まり、陸軍が駐留する軍郷1であった。しかし、陸軍省の用地となる以前は文部省用地であり、明治政府が目指す「真ノ大学校」建設予定地だったことはよく知られておらず、明らかにもされていない。東京大学創立と並行して計画された「国府台大学校」は、当初専門学校的な位置づけであった東京大学とは異なる、「真ノ大学校」として創設されようとしていた。しかし、「国府台大学校」は土地の買収が行われただけで具体化されず、草創期の明治政府が目指した大学校は幻となってしまった。  しかし、本研究では政府が目指した「真ノ大学校」がどのようなものであったかは明らかにすることはできなかった。  計画が中止とされた理由としては、一般的には高台であるために飲料水の確保が困難であることと、交通の便が悪く、教授らが大学へ通うのに渡し船しかないのでは不便だということが挙げられている。しかし、1877年の西南戦争による財政的な困窮が計画の遂行を困難にしたと考えられることや、教育令の失敗によって計画の立案者である田中不二麿が失脚したこともまた、計画の立ち消えに関与していると考えられるのである。これらのことから、西南戦争による政府の財政難が最も大きな原因であり、田中の失脚による文部省の政策転換も少なからず関与していたが、表向きの理由として国府台での飲料水確保の困難さと交通の便の悪さを挙げたのではないかと考えられる。

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