渋沢栄一の貨殖に関する思想 : 論語解釈の比較分析に基づく一考察

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タイトル別名
  • Shibusawa Eiichi's Idea of Money Making : A Consideration Based on the Comparative Analysis of Commentaries of The Analects of Confucius
  • シブサワ エイイチ ノ カショク ニ カンスル シソウ : ロンゴ カイシャク ノ ヒカク ブンセキ ニ モトズク イチ コウサツ

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抄録

本稿の目的は、渋沢栄一の貨殖に関する思想の一端を、「貨殖の才」、「投資と投機」、「浪費と倹約」、「富貴」の4つの視角から探ることである。渋沢の思想はその論語解釈に反映されると考え、渋沢の主著である『論語講義』の注釈を、陽明学、徂徠学、朱子学の流れをくむ3注釈書に通釈書を加えた4つの見解と比較しその特徴を析出する。 渋沢は清貧の中で仁義道徳の頂点を極めようとする学才豊かな顔淵よりも、むしろ貨殖の才に恵まれた子貢を評価した。渋沢は貨殖の才を正当かつ適切に用いることは論語の本旨に沿うものであると解釈し、その考え方を企業家活動の中核に据えた。この思想は渋沢の道徳経済合一説の基本精神と整合的である。 渋沢は投機と浪費を斥けて投資と倹約を勧めたが、教条主義的な倹約についてはこれを戒め、生きたカネの使い方を勧奨した。富貴に関して渋沢は、富者と貴者を区別し、私利を離れ常に国益を視野に置いて行動する貴者たらんとした。

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