Speech Presentation in Kipling's "They'"

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抄録

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文学作品における発話行為(speech act)の提示法は様々であるが,文体的にみて 話法はDirect Speech, Indirect Speech, Free Direct Speech, Free lndirect Speech, Narrative Report of Speech Actの5種である(Leech&Short 1981)。 R.キプリ ングの傑作の一つとされる作品“‘They’”には直接的話法が連なる中,一文だけ間 接的話法が紛れ込んでいる箇所がある。この明らかに作意的な文体操作は何故か。  直接的話法の中の一文だけが間接的話法であるということは,この間接的話法の 文が‘foreground’されていることを意味する。また,間接的話法は台詞を明示しな いため,読者にはここで話された言葉が実際何であるかわからない。このように不 透明化された発話は,実は作品全体のミステリーを解決する糸口となっている。作 者の目的はKeyとなる情報を焦点化しながらもsuspenseにすることにあったと考 えられる。

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